だしは料理の命

激情を吐き出す観劇ブログ

SMOKE(ミュージカル)の話。

SMOKEを配信で観ました。今回はその感想ブログです。何かとタイミングが合わなくて観劇もできず配信も観れてなかったので、リピート配信マジでスペシャルありがてえ感謝感激大感謝

マジでめちゃくちゃに刺さった。刺さりすぎてちょっと苦しかった。わたしは絵を描くのも小説を書くのも歌を歌うのもゲームをするのも、とにかく色々なものが好きで、そしてどれもクソクソ下手くそってほどでもないけど誰よりも上手いとか、一芸として誇れるほど上手にはなれなかった。THE★器用貧乏。誰にも見向きされないほどではないけど、誰しもに見向きされるほどではない。

何をやっても中途半端で、好きでも夢を見てもそれだけで生きていけるようなものは今の所なにひとつ見つけられなくて。才能が無い。自己嫌悪。それでもやめられない。何回も挫けて本気で「こんなにつらい思いをするならもう絵を描くことなんてやめてしまおう」って数年間筆を投げた期間もあった。それでもやめられなかった。神にはなれなくても、自分の好きなように好きな時に趣味としてやっていこう。今はそんな落とし所で落ち着いている。

そんなわたしだからこそSMOKEは刺さりすぎて痛かった。自分には才能が無い、誰にも認められない。それでも捨てられない。自分の中の痛み、苦しみ、慰め、愛とのどうしようもない葛藤。SMOKE観てよかった。

前置きからして長いんだけど、感想もひたすらに長いです。よく考えて深く考えて考察しすぎて逆に混乱しつつある。ちなみに超:伊藤裕一さん、海:大山真志くん、紅:池田有希子さんの回を観ました。伊藤さんもまあくんも推し。そんなの観るしかないよネ★

↓公式サイト様はこちら↓

musical-smoke.com

 

アーカイブってすごい。

そういえばコロナ禍になって、色んなライブとか舞台とかおうちで観られるものが増えたけど、わたしこういう配信ってあんまり観たことなかった。ので、アーカイブを観ながら感想書けるってマジでサイコーでは?一つずつしっかり追いながら感想を書いていけるので、言いたいこと一つも逃さず言えるのでは?と、にっこりしています。

SMOKE良すぎて、アーカイブが観れなくなっちゃうのが惜しすぎてほんとに一日中ずっと再生してた。全然観足りない。仕事しながら裏ではずっとSMOKE流してた。胸をギリギリ締め付けられながらちゃんと仕事はしました。ホントウデスシンジテクダサイ!!

 

■「私は私自身を恨んでいる」

『天才になりたかった。なのに、ただ人並みの暮らしさえ出来なかった。いや、足元にさえ届かなかった。looser、負け犬』

初っ端からすごく刺さる。わたしは常々劣等感を抱きながらここまで生き永らえてきたので、マジで刺さる。なりたくてもなれない、欲しくても手に入らない、そんなものが多すぎた。

わたしの好きな「東京負け犬エレジー」という歌があります。それをとても思い出しました。SMOKEの歌詞が刺さる人は刺さると思うのでぜひ検索してみてほしい。そして歌詞を見て、曲を聞いてほしい。めちゃ良いから。

わたしはcali≠gariというバンドが好きで、中でも桜井青さんの書く詩がとにかく好きで。上記の曲はその青さんの別バンドでの曲なんだけど。マジで良い。わたしの鬱屈した学生時代にビッタシ刺さりすぎる曲ばかりだった、青さんの作る曲は。苦くて薄暗い思い出に寄り添う歌。

ていうか舞台セットすごくない?すごいこだわりを感じた。色んな所に鏡があって、それが後々ものすごい重要な意味を成してくる。やびい。これはやびい(突然の語彙力の欠如)

客席どんな感じだったんだろう?と思ってググってみたんだけど、ビニールで仕切られてたらしい。覗き見スタイル。ビニールに自分の顔が写ったりするのもまた意味深らしく、「"金海卿"を見る沢山の世間の目」「世間を恨めしそうに憎らしそうに見る"金海卿"」を舞台装置で表してるのかな?天才では?あとお客さんに黒マスク配られてたらしい。天才では?THE★統一感。そういうこだわり好きやわ~~~~

初見の時は超と海が兄弟かお友達で、紅が初恋の人、恋人、もしくは二人を捨てたお母さんとかなのかな?って思いながら見てた。でも一回最後まで見て全てを知った後、もう一回見るとまた全然意味や印象が変わってくるよね……こういうギミック本当にすこすこのすこや……

あと、伊藤さんってなんだか一人称「私」がすんごい似合う。すてき。

 

■剥製になった天才

「本当にこんなことやってもいいの?」ってオドオドしてるまあくんはかわいすぎるし、「どうした?怖気づいたか?」ってオラオラしてる伊藤さんはかっこよすぎるのよ。出だしから死んでしまった。良すぎる。純粋なこどもみたいにあかちゃんみたいにふにゃふにゃやさしくしゃべるまあくんはかわいすぎてギルティだし、悪い台詞言う伊藤さん良すぎるんよ~~~~~~~~ほんと声良すぎん???どうなってるの???良い……

全体的に黒めな服装の伊藤さん。股下5kmある。足長すぎて森。スタイル良すぎ。かっこよすぎ。そして伊藤さんよりはちょっと柔らかい色でまとまってるまあくん。股下5kmある。足長すぎて森。腰の位置高すぎん?いつ見ても新鮮に驚く。めんこい。

伊藤さんとまあくんが一緒に歌ってんの夢か?ってぐらい嬉しい。ニコニコしちゃう。夢かもしれない。(※現実)

お金のための誘拐、夢を追いかけて切羽詰まった誘拐犯と攫われたお嬢さんの短くも濃密な数時間のお話……かと思いきや結局全部自分との対話だった、っていうのすごくない?語彙力ないからすごいとしか形容できないけどすごくない?超も海も紅も結局は全部"金海卿"という一人の人間でしかないんだけど、別々に分かれて狭い部屋にいて仲良く踊ったりぶつかりあったり慰めあったり喧嘩したりするこの感じ。自分の中にある色々な気持ちが自分の中で争う感じ。エモい。

「黙れ!静かにしろ!ガタガタ騒ぐんじゃないじっとしてろ!うるさい!ジタバタするな!」って物騒な台詞言う伊藤さん良すぎん?良い……ハチャメチャに良いわ……わるい伊藤さん良いわ……負の感情とか闇を凝縮したのが超だからこそこういう感じなのかな?良いわ……もしくは超が本質、鬱屈した超こそが"金海卿"としては本質なのやもしれん……

序盤はとにかく超がリードしていくんだよね。行動を起こすメインが超っていうか……それが終盤にかけて徐々に海がメインに、中心になっていく……くう~~~~最後まで見てもう一回最初から見直したらすごくよく分かるたまらんギミックですわ(五体投地)

 

■きみが捨てて、ぼくが拾った。

書いた詩を全部捨ててしまおうとする超と、それを拾おうとする海。

「捨てちゃうの?きみが一生懸命書いたきみの財産じゃないか」「もうこんなものに価値はない」「こんなものはなんの役にも立たないんだから」詩を一生懸命書いて、大切にしてる自分と、失望して何もかも捨ててしまいたくなる自分。

自分の中での葛藤なのかな……ええいこんなもの!ゴミだ!才能が無い!なんの役にも立たない!って何もかも捨ててしまいたくなる自分と、大丈夫、いつかきっと誰かがわかってくれる、見つけてくれる、自分は自分で生み出したものが大切だし好きだと思っている自分の葛藤。とてもせつない。

海へ行く行かない、こんなことしていいのかな?これしかないんだよ!ってずっと揉めてるのってやっぱり、死にたいけど死にたくない、そういうどうしようもない葛藤と自分の中でひたすら戦ってる描写なんだろうな……才能無い、死にたい、諦めたくない、生きたい、見つけてほしい、みたいな。

わたしも常に死にたいマンだからすごいよく分かる、自分にはなんの価値もない、何も生み出せない。死んだほうがマシ。それでも今でも生きている。わたしも絶望に満ちた人生でも、いつか見つかるかもしれない僅かな希望が捨てきれない。ついでに痛いのは嫌だ。だから死ぬ勇気がない。死ねない。

 

■咳

最初は超がよく咳き込んでるから病気なのかな?と思ってたけど、途中から紅も、そして終盤は海も咳き込んでて、結局やっぱり皆同じひとりの人間だから……だからこそたぶんそれぞれが咳き込むタイミングとかも重要なんだろうな……

超は序盤からめちゃくちゃ咳き込んでるし、海は超と紅がなんなのか分かり始めるまでまったく咳き込まない……何も思い出してない海は全然咳き込んでないけど、徐々に雲行きが怪しくなってから咳き込みだす。超は怒ったり、感情が爆発してる時によく咳き込んでる気がする。紅は咳き込む回数少ないよね?だからこそもしかしてめちゃくちゃ重要なんじゃないか……ぐぬぬ……アーカイブ見ながら確認する時間が足りない!円盤ほしい!買わなきゃ!出ますよね!?(圧力)

 

■罪

西神田警察署に拘禁されて取り調べ受けてるところから最初のシーンが始まるからこそ、紅を誘拐するシーン見たらその先の展開をなんとなく想像しちゃうじゃん?ああ、結局超は罪に問われたのかな?失敗したのかな?紅と海はどうなったのかな?って。

でも実際取り調べを受けてる内容は書いてる詩による思想不穏の嫌疑。く~~~~~~~~~~ギミックが上手!!!!誘拐の罪とか殺しの罪で捕まっちゃったのかな?って思い込んじゃうよね~~~~~~~~まさか三人がひとりの人間だとは思わないよね~~~~~~~~~

 

■「あ、ちょ!!」

って超を呼び止める海。かわいい。まあくんこういうこどもっぽい喋り方、似合う。かわいい。めんこい。そしてこの辺の超、伊藤さんべらぼうにかっこよい。素敵。ゾクゾクしちゃう。永遠にリピート再生できる。永遠に見てたい。

伊藤さんの歌声すこ。SMOKEの頃ってまだミュージカル挑戦したてだよね……声も良いし歌もウメエのよ……シンるの時更に上手くなってた気がする……いっぱいいっぱい努力してるんだろうな……と思った……

このあともちょいちょい出てくるけど、机に向かい合わせで歌うのめちゃ良い。エモい。向かい合わせの時はまさに自問自答してるのかな……全部ひとりの人間だってことを知ってから見ると、鏡合わせで同じ振り付けしてるところ見るとうわおってなる。

まあくんの「最初で最後のチャ↑↑↑ンス…🎶」すこ。まあくんほんとに歌がうまい。知ってた。すこ。

「お前はじっとしていれば大丈夫だ。ただじっと」って超に言われた後、自分でも銃を構えて鏡に向かって?同じことを反芻するのってなんか……めちゃくちゃ自分に言い聞かせてるよね……「紅(今まで封じ込めてきた絶望、夢、愛など)に触れずにじっとしていれば傷付かない、大丈夫」ってことやんな……エモ……

 

■「海に行くにはこの方法しかない」

痛くて辛くて怖かっただろう。でも海に行くにはこの方法しかない。明日への、旅立ちの最後のチケット。海へのチケット。って紅をかわいそうに思いながら歌う海。これって、海に行く=死ぬために"紅"という自分の過去、心の奥深くにしまい込んで忘れ去ってしまった苦しみ痛み恐怖、そして夢、希望、絶望全てと向き合って受け止めよう、この苦痛と向き合うことで死ぬ勇気が出る……決意できる……ってこと……?かなしい……

海に行ったら自由に絵が描ける。自由に詩が書ける。それはつまり死んだら楽になれる、苦痛から解き放たれて自由になれるっていうことなんだろうな……ていうかこの曲のメロディーエモエモすぎて大好き。全部良い曲だけどこれかなり好きだな……

紅が「赤い始まり、青い終わり」って歌うシーンあるけど、もしかして赤い始まり=紅、青い終わり=海……ってコト?!紅が"始まり"なのは難しいな、"終わり"が海なのはわかる。"死"ってことじゃん?!ヤバぉ!対になってると考えると、紅が"生"なのやもしれん。死のうとする度いつも最後の砦になってたのは紅だし。生を望んでいるのが紅、死を望んでいるのが海。もしかしてあの歌は生死について歌っていたのかもしれない。

 

■苦痛、憎しみ、愛、夢、希望、絶望

紅は海のことを覚えているのに海は覚えてない。人間ってつらすぎる思い出とかは自分を守るために忘れちゃうっていうから、そういうことなんだろうか……紅は苦痛だけじゃなく、一見相反する夢や愛なんかも内包してるらしいから、夢や愛、幸せなはずの記憶でさえ思い出そうとすると一緒につらい気持ちも蘇ってきちゃうってことかな……全部ひっくるめて封じ込めてる。ひたすらつらいな……

紅が絶望とかつらい気持ちだけじゃなくて、夢とか愛とかも全て内包してるのって深くね?(浅いコメント)

紅からはなんだかとっても母性を感じた。それはもしかしたら役者さん、池田さんが演じた紅だからこそなのかもしれないけど(他の人が演じてる回も観れば良かった……やはり演劇は複数公演観るに限る……)

自分を慰める気持ち、自分を大切にする気持ち、自己愛、自分を認めて許すこと、抱きしめてあげること。Love Myselfを感じた。わたしの今年の目標、Love Myself。嫌いで嫌いで仕方ない自分を少しでも好きになること。この目標を掲げた今年にこのSMOKEという作品を見たのは偶然だとは思えないぐらいの運命的な何かを感じてしまうね。

 

■「才能が無い」

海も超も紅も、全員「自分には才能が無い」って言ってる。つい先日のインスタライブでまあくんがそこに言及してた。深い。共通して自分には才能が無いと思ってる。かなしい。芸術家は本当に難しいいきもの……ふしぎなふしぎないきもの……

さっきの海に行くチケットの歌といい、「煙のようにこの世界から抜け出そう」っていう歌といい、よくよく聞いてたらだいたい全部が"死"にベクトルが向かってないか……?まあ現状それが最大の目標、終着点だからこそなんだろうけど……超が書き散らした詩も「遺書」って言ってるし……とにかくそこら中に「死にたい」の欠片が散りばめられてる……海と紅ふたりのシーンは一見和やかに見えるのに、そこら中に痛みがひしめいてる……

これ脚本書いた人、ほんと……常に死にたいマンか?あまりにも分かっている。何をしてても不意に「死にたいわ~」「そろそろ死んどくか~」みたいな感じで、まったく関係ないところでも死を望んでしまう片鱗が日常のそこら中に散りばめられてるんだよな……つらい過去、嫌な思い出に蓋をして見ないふりを続けていたらマジでいつか重さに耐えられなくなってくる。見ないふりができなくなってくる。耐えられないほどの痛みがそれこそ心の中の袋にしまいきれなくなって溢れてしまう……

 

■すべ!て!を!な!く!す!ぞ!

超が急に帰ってきてからのこの曲。すごい好きなんだけど、テニミュ村井良大くんのことを不意に思い出してしまった。スタッカート村井大先生……(懐かしすぎる思い出)

超が帰ってきて、言い争って。紅のことを思い出そうとして徐々に海のようすがおかしくなっていく。途中急に明るくなって「もうやめましょ?」ってコーヒーを準備する紅がちょっと不気味。思い出そうとしてみるけどやっぱり痛くて自分が壊れそうだから思い出すのをやめよう、っていう自分への愛……かな?超と紅の会話は本当に自分の深いところ、痛いところと痛いところのぶつかり合いなのかな……熱量がスゲエのよ……

コーヒー飲んで寝ちゃうまあくんめんこい。安らかな寝顔……。めんこい。この前のインスタライブで言ってた。あのシーンは本当に寝ちゃいそうだって。めんこい。結構ここの寝てるシーン長いもんね。ゆっくり休憩してほしい。

そして見てください皆さん。ここでおもむろに腕まくりし始める伊藤さん爆イケすぎん?死んでしまう。Yシャツの腕まくりってなんでこんなに心をくすぐってくるんだろう。好き。

 

■「行くと決めたら最後まで行くの」

「もう限界だ、もう耐えられない!」「俺だって変われるもんなら変わりたいよ!」

死にたい自分(超)と希望を捨てられない自分(紅)のぶつかり合い、もう何もかもすごすぎて語彙力が足りない。一見相反する感情、これが一人の人間の中にあるってすごいよな……わたしの中には確かにあるからこそすごく刺さるんだけど、皆そうなのかな?人間って誰しも自分が嫌いな気持ちと自分を愛したい気持ち、死にたい気持ちと生きたい気持ちで揺れ動いてるのかな?

超の死にたいソング()すごく好き。こういう心からの悲痛な叫び。好き。とにかくつらそう。生きるのがつらそうな男好きなんよ(ねじれた性癖)

誰も認めてくれないつらい死にたいって叫ぶ超に「つらいのはあなただけじゃないの!!!!」って言う紅。どっちも同じ人間だと思うとすごくエモい。なんで自分だけがこんなにつらい目に合うんだ、って思ってる自分と、みんな同じように苦しんでる、って自分を諌める(慰める)自分。ここの大喧嘩、実際は一人の人間の葛藤だと思うとすごく痛々しくてつらいな……

「生きていればつらいこともある。けど歩き続けなくちゃいけないの」って言う紅、それでも死にたくてどうしようもなくてつらい超。つらい……自分でもわかってるんだよね。誰だって大なり小なりつらいことはある。つらくても生きていかなきゃいけない。死なない限りは。でも死にたい。だからこそつらい。生きていくのがつらい。でもなかなか死ねない。永遠につらいの連鎖。う~んほんとSMOKEの心理描写すごいな……マジでわたしがわりと長らく葛藤してきた人生の苦しみとすごくリンクしててなんか……マジで……出会って良かった……

つらくても生きてればまだ光があるかもしれない、いつかは希望が見えるかもしれない。そう信じて生きて進む、その度により深い絶望にたどり着く。もう耐えられない。死にたい。そんな超の気持ちめっちゃくっちゃわかる。今のわたしマジでそれ。いつか幸せになれるかも、今ここで死んだらマジで何も良いことなしで終わるわたしの人生、だからせめて少しでも報われたい、そう思ってなんとか這いつくばってここまで来たけどマジで生きてても良いことがない。マジで絶望を乗り越えた先ってまた絶望が待ってんのよ。いつか報われる、この先にはようやく希望が待っているのかもしれない。そう思って何回絶望してきた?あ~死にて~って思っちゃうよね。マジでわかるから刺さる。SMOKE刺さりすぎる。

「死にたい……」「俺は……本当に死んでしまいたい……」って言うところの伊藤さんすこすこのすこすぎてすこ。すっごく良い。良いとしか言えないけどとにかく良い。あれは抱きしめてあげたくなっちゃうわ。抱きしめ待ったなし。抱きしめ不可避。そして超を抱きしめる紅。「三人なら大丈夫、一緒にいれば大丈夫」エモい。やっぱりLove Myselfだと思うのよ。自分で自分を許して愛することってマジで大事だと思うのよ。わたしはそこにまだたどり着けてないけど。たどり着いたらきっと何かが分かると思うんだ。何かが見える気がするんだ……

「俺はいっつも一人だった」どうしようもない孤独感。わかる。本当に何もかもわかりあって寄り添いあえる他人がいる人は本当に幸せなんだろうなと思う。全てをわかりあえるわけじゃなくても、いつでも自分を愛してくれるような他人がそばにいる人は幸せなんだろう。わたしには今のところそういう存在がいないのでわからない。アッ!やめてください!かわいそうな目で見ないでください!

「一体何が変えられるっていうんだ?生まれてすぐ親に捨てられた人生をか?肺病で血に染まりながら誰にも読んでもらえない作品を書く気が狂った物書きの人生をか?変えられるもんか!!!」超が言うこの台詞、後で海も似たようなこと言うよね?エモ……

 

■アダリン≒アスピリン

海にとってアダリンはアスピリンになる。疎いのでググった。アダリンは睡眠薬・鎮静剤。アスピリンは解熱鎮痛消炎剤。痛みや苦しみを睡眠薬で誤魔化してたってことなのかな……

序盤の何も知らないこどもみたいな海が、全てを忘れていた海が、後半になるにつれてどんどん苦悩に満ち溢れた自分を思い出していって喋り方とか雰囲気とか思いっきり変わるのすこ。まあくん天才。

海の病気にはアダリンが必要だった、ってことは精神病患ってたのかな……いやまあこんだけ常に死にたいマンだったらその線は有り得る……そこまでいかなくても、睡眠障害などの可能性もあるけど……ストレスで眠れなくなることあるからね……死にたくてどうしようもない夜はマジで眠れないやつ……

 

■やったか!?(やってない)

銃で撃たれても死なない紅。頭を撃ち抜いても死なない超。ここからついに驚愕の真相がコンニチハする。海も超も紅も全部「金海卿」という一人の人間の中の一部だった。初見時ほんとうわお……マジか……そういうことか……ってなった。すごくドキドキした。

"金海卿"って名前の中には「海」だけがあって、「超」と「紅」はない。だからこそ実体、肉体を持ってるのは海だけなんだろうか。なんで海だけ本名に同じ漢字があるんだろうって地味に疑問だったんだよ。なんで超と紅は金や卿じゃなかったのかって。実体がないからなのかもしれないな……こんなところにもそういうギミックがあるとは……

海は鏡の中の自分(超)と心の奥底に捨てた絶望希望(紅)に全てを押し付けて見ないふりして、なんとか生きてる肉体、本体の"金海卿"で、でも鏡の中の自分に苦しみを押し付けたって、心の奥底に痛い気持ちを封じ込めたって、どんなに目を逸らしたって自分の痛みは消えない。逃れられない。忘れられない。そういうさまが超・海・紅の会話や喧嘩として表現されてるのかな……

超はひたすら苦しくて死にたいけど、鏡の中の存在である自分では死のうとしても死ねない。だから封じ込めた自分の苦痛(紅)を連れてきて(拉致)、何もかも忘れた本体(海)に全てを思い出させて解放されようとする。「鏡の中の自分を殺しても死なない、死ねない、生き続けてしまう」ってのも深いな……忘れようと、消そうとしたって苦しみは消えない……死にたい自分と死にたくない自分、絶望と希望に揺れ動く自分……紅が「私は消せない」ってちょいちょい言ってるけど、今まで経験してきた過去、感情、苦痛、憎しみ、夢、恋、愛、全てはどんなに押し込めて忘れようとしても消せないっていうね……深いのよ……

そしてここでおもむろに腕まくりをし始める海。腕まくりほんと好き。たまらん。そして海がさっき腕まくりした超とリンクする。鏡合わせになる二人。海が超を自分だと理解する。舞台として、物語として三人に分けて表現されてるだけかもしれないけど、人格乖離、解離性同一症的なそういうアレの可能性も無きにしもあらずかもしれない。

ここの鏡合わせデュエット曲マジで良い。エモエモのエモ。超好き。あ、この"超"は"とても"という意味での超です(ややこしい)。動きも鏡合わせになってるしハモりもきれい。すこ。この曲だよね?最後の最後でハモりの上下が逆転するの……最後だけ海がハモりの上パートを歌う。これも深い意味があるんだよね?まあくんがインスタライブで言ってた。たぶんこの曲だよね?ここでずっと何もかも忘れてた海がようやく思い出すって感じ?優位人格の逆転?最初の方超(伊藤さん)が演じてたシーン(in警察署のシーン)を海(まあくん)が演じて、メインが移り変わっていくのが表現されてる?分離してた人格がひとつに統合されていく?

苦痛を思い出して、こめかみに銃を当てていよいよ死のうとする海に、暗闇の中で(自分の心の中から?)生きる希望を叫ぶ紅。最後の葛藤……?死のうとするたびやっぱり心の中の希望が捨てきれなくて、死にきれない。

ここでさっき超が言ってた台詞とリンクする「何をやりなおすって言うのさ?生まれてすぐに親に捨てられた人生?肺病で血に染まりながら誰にも読んでもらえない作品を書く気が狂った物書きの人生?」って台詞。エモい。でも「いいえそれを変えることはもうできない!!!!」って、変えられない過去と向き合う。"変えられない"っていう事実を認める。思いっきりぶつかりあってる。つらそう。痛々しい。自分の痛い部分、思い出したくない傷と向き合うのってほんと痛いよね……

歌うことないサキソフォンの曲めちゃ好き。良い。そして銃をこめかみに当てて、二人が机で向き合って、暗い中鏡みたいに机の真ん中にライトが当たってるシーン。ここほんと好き。一番好きなシーンどこ?って言われたらここ選ぶね。初見の時ほんとにゾックゾクのワックワクだった。感激した。か、鏡の表現……!ってなった。ミラーリングしちゃうシンクロしちゃうでもシンクロしてない絶妙な振り付けもサイコーじゃんよォ……

 

■さあ落ちよう

これで終わりだ、さあ落ちよう。この曲エモエモのエモエモのエモ。本当に本当に死のうとして、でもどんなに押し込めても封じ込めようとしても死の間際になると出てきてしまう紅。最後の最後、やっぱり希望に縋りたくなる、希望を捨てきれない自分がいる。う~んエモい。もうマジで語彙力が無い。ここで海と紅が抱き合うの、エモ。エモエモ。自分の優しさに抱かれて、自分の痛みを抱く。自分の心を、痛いところも何もかも受け入れて抱きしめてる感じ。Love Myself。

超と紅が抱き合うのもエモエモのエモエモ。本当にエモい。一番反発しあってたふたつの心が……。「私を抱きしめて生きていきなさい!」って言う紅。抱きしめる超。見たくないものも思い出したくないものも痛いのも怖いのもつらいのも憎しみも夢も希望も愛も全部受け止めて、受け入れて、抱きしめて生きていく。

そして「ごめんね」って鏡の中の自分を解き放つ海。全てを押し付けていた自分を抱きしめて、自分に謝って、自分を解き放って。吹っ切れた、と言ってもいいのかは微妙なところだけど、"自分"ってものをちゃんと認めたというか、とりあえずつらいけど苦しいけどきっとそれだけじゃない、って。とりあえず死ぬのはやめた。希望を捨てないことにした。落とし所を見つけたっていうのかな~……ほんとピッタリくる言葉がわからん。なんと言えば良いのやら。語彙力鍛えなきゃ。語彙力マッチョにならなきゃ。

 

「僕たちだけでもそれを愛してあげよう」

そして思想不穏の嫌疑で西神田警察署に拘禁されてるシーン。舞台冒頭のシーンのその後、続きになるのかな?李箱氏のwiki見て思ったんだけど、これってもしかして、拘禁されてる1ヶ月の間にひたすら悶々と内観してたのかもしれない。自己対話。今までの人生を振り返ったりなんかしちゃったりしていたのかもしれない。李箱氏、この頃がマジで一番限界だったっぽいから……

最後に三人で歌う曲めちゃ良いよね。マジで全部良い曲なんだけどさ。最後はようやくなんか、完全なるハッピーエンド!!とは言い難いかもしれないけど、死にたくて仕方ないだけじゃなくなった感じ。ちゃんと自分と向き合って成長した感じがする。ずっとつらそうだった三人の表情が穏やかなのがエモい。

「飛ぼう」っていっぱい言ってたよね?「さあ落ちよう」の次に飛ぼうとするのエモいな。飛ぶっていうのは生きて輝かしい未来に羽ばたくことなのか、それともあの世に羽ばたく=死ぬことなのか。解釈によって全然意味違ってくる。個々の解釈に任せられちゃう……現実の李箱氏は釈放された後1年も経たずに亡くなってしまうんだけど、このSMOKEでの"金海卿"は分からないよね。自己対話に成功したから元気に長生きしてくれるかもしれない。長生きしてほし~~~~~~~(切望)

なんだろう。こういう一筋縄ではいかない葛藤を永遠に繰り返して人は生きていくのかもしれないな。人生。一旦全てを受け入れて成長したかのように見える"金海卿"も、もしかしたらこの先また絶望に打ちのめされて超海紅に再分離するかもしれないし、その時こそいよいよ死んでしまうのかもしれない。でももしかしたら希望に満ち溢れて輝かしい人生を送るのかもしれない。人生は選択の繰り返し。いつどこで何がどうなるか分からない。

「僕たちだけでもそれを愛してあげよう」やっぱり。やっぱりLove Myselfなんよ。自分が生み出したものを愛すこと。自分で自分を愛すること。自分で愛せる自分になってこそ、自分を愛してこそ、初めて他人に愛されるのかもしれない。日本人はことさら自己嫌悪というか、自己否定、謙遜するのが美学みたいなところあるから……

 

■さいごに。

なんかわたし自身が鬱屈して悶々とした人生を現状歩んでるから、めちゃくちゃに分かったし刺さった。すごい作品だった。自分の中の痛みとか、苦痛とか、死にたさとか、そういうのを抱えて生きてる人はすごい色々考えちゃって刺さっちゃう作品なんじゃないかな……すごく分かった……観てよかった……

再々々演があったら是非とも劇場に観に行きたいです。これ生で見たら役者の熱量ヤバそう。すごそう。これは観たい本当に。愛煙家名乗りたい。SMOKE生で観るまで死ねない。舞台ってやっぱ生モンじゃん?(迫真)

あっ。そういやPCで見たら「360°表示」があって、エッこれ360°カメラで収録してるの!?ヤバ!?推しカメラできる!?と思ってスマホでも見てみたんだけど、「360°表示」とかどこにも出なくて無理だった。何故だ……わたしのスマートホホホンは最新機種のiPhoneProMax13ちゃんだぞ……PCのモニターぶん回すわけにもいかないし……なにか方法があったのだろうか……

一応言い訳しておくけどわたしは常時死にたいマンではあるけれども、自傷やおくすりには頼らずなんだかんだ呑気に生き延びてるただのアホなのでなんていうか、その、安心してくだちい。死にたいけど推しを生で浴びるまでは死ねない(オタクの常套句)(オタクで良かった)